受講生
あきざくら山村沙世子
あきざくらが手掛ける着物をリメイクした日傘の製作・販売について教えてください。
あきざくらは、「Re(リ)」(=再生)の文化普及、持続可能な社会実現を目指し、Usedの着物を傘職人の手によって日傘にし、販売やレンタルするサービスを展開しています。販売に関しては、お客様のご自宅のタンスに眠る着物で製作することもあれば、あきざくらに寄付された着物で製作することもあります。
製作しているのは、裁断用の型から作れる日本トップクラスの傘職人です。1つ1つ伸縮性や柄が違う着物を傘にするのは、熟練の技術だけでなく綺麗な柄合わせが出来るセンスも必要です。今、あきざくらの日傘が「可愛い」と評価頂いているのは職人のおかげです。張りの職人以外にも、傘骨の職人、手元(柄)の職人など、職人技を活用して製作しています。
また、レンタルの日傘に関しては、オーナー制度という、クラウドファンディングとシェアリングの考え方を合わせたような仕組みを導入しています。オーナーにオーナー価格で日傘をご注文頂き、オーナーがセレクトした着物で日傘を製作します。その日傘をあきざくらが窓口となり、有料・無料でレンタルします。有料だった場合、料金の30%をオーナーに支払うというシステムです。オーナーは自分の日傘がレンタルされることでお金が得られるというメリットだけでなく、自分の日傘が、ファッションショーや撮影会などで使われているのを見て楽しめるという価値(自分では出来ない体験)も提供しています。
起業のきっかけを教えてください。
「調和のとれた社会にしたい」これがスタート地点です。
2013年に独立し、マーケティングのコンサルタントや講師として活動をしている中で、豊かなはずの日本での日本人の心の貧しさに問題意識を持ちました。自分さえよければいい、儲かれば何をしてもいいというスタンスでの人間関係の不調和の数々。
ただ同時に、上記を批判していても何も生まれないと感じ、人々が楽しみながら社会問題が解決できる、日本人が本当の意味で豊かになるビジネスが作りたいと思うようになりました。
そんな中、日本の文化伝統・歴史の研究を行ない、調和のとれた社会という視点で日本の「Re(リ)」の文化に興味を持ちました。「モノを大切にする」ことは、そのモノに携わる人の人生をリスペクトすることにつながり、それこそが心の豊かさを育むと感じました。
そして、現代に合わせた形で「Re(リ)」を表現した、着物をリメイク日傘ブランド「あきざくら」を立ち上げました。
今後の展望を教えてください。
先日、NHK WORLDの番組のアップサイクル特集であきざくらの日傘を取り上げて頂きました。このように、日本だけでなく世界にも、日本の誇る「Re(リ)」の文化と共に、あきざくらを展開していきたいと考えています。
特に今後は、あきざくらの日傘を使ったコンテンツを提供していくことに力を入れていこうと考えています。
もちろん今まで通り、傘職人さんにコンスタントに仕事が出せるように、お客様のお着物を日傘にするサービスや、既成の着物リメイクの日傘の販売も行なっていきます。
しかし、21世紀は「モノ」を提供することより「コト」を提供することが求められる時代。日傘を使った街歩きツアーなど、所有せずともあきざくらの日傘を楽しめ、なおかつ「Re(リ)」の大切さについて改めて考えられる場を提供していきます。